「在宅勤務をしている」という姿を10年前は想像できなかったが、何故か「良い主婦」になっている姿は勝手に想像していた独身推定26歳の私。そんな時はエビに限る。

昨年の今日、小市民レベルにまで在宅勤務を余儀なくされるような事態が及ぶなんて、誰が想像できただろうか。

今でこそ

   「あたし、新型の方じゃなくて旧型の方のコロナの可能性があるかも…」

などと不謹慎なことをほざく友人はいれど、当時は

   「熱っぽくて咳出るし(旧型の方の)コロナかも…」

なんて言い出す人、少なくとも私の周囲にはいなかった。

むしろ調子が悪いと「インフルエンザだー!」と決めつけられることのが多かった気がする。

 

きちんと外出自粛生活を全うしている。

自分のためでもあるし、何よりも大事な人にうつってしまったら!と想像するだけで涙が出そうになるからだ。それが例えエア彼氏であっても、桃源郷の美丈夫の君であったとしても。

 

で。まぁ、趣味パワーの弱い人間あるあるなのだが、自由な時間が増えたし人目に晒されることもなくなったので、やたらと本能が剥き出しになり、やたらと食への拘りが爆発気味になってきたのである。

毎日ピンポイントで食べたいものが頭に浮かぶようになってきたのだ。

殿堂入りのメニューはいくつかある。

しかしこれは殿堂入りのスタメンなので、いつ食べても普通に美味しくて嬉しいだけであって、常に「今この瞬間はこれじゃなきゃ嫌だ!どうしてもこれを食べないと後悔して死にきれない!」という、所謂自分の中のオンリーワンではないのだ。

話を戻そう。

つまり、昨日は無性にエビが食べたくなったのだ。普通のエビじゃない。大き目の有頭の刺身用のエビだ。お正月にでる目出度い焼きエビ、あれの刺身版。

食材の買い出しついでに複数のスーパーを巡るが冷凍やすでにボイルされた頭の無いエビしかない…。

エビって旬とかあんの?大体、海の中でどんな格好で生活してんの?足いっぱいあるけど泳ぐの?

漁業関係者やさかなクン並みにエビに想いを馳せていたところ、とある事実に気がついた。そうだ、今日は日曜日だ…。むしろ刺身用で売ってるほうが鮮度に難ありということになるのか。そうかそうか。ならば仕方あるまいと諦めて帰路につこうとしたところ、ショッピングセンターの魚屋で特売のエビを発見した。

「……。」

買うよねぇ~。10尾1000円の特売だったし。

 

塩水で洗い、丁寧に頭と背ワタをとる。背ワタって「ワタ」って言うくらいだからエビの内臓らしいよ、知ってた?クックパッド先生をみながら下ごしらえしたんだけど、掲載されてる写真のエビの背ワタはめちゃんこ控えめなほっそい黒い線なのに、私が買ってきた大きなアルゼンチンエビの背ワタは幅5mmはある緑色の不気味な形状で、ブニュブニュしてる…。クックパッド先生は竹串で取り除いてたけど、ウチのエビ男はグロテスクサイズだったので、フォークでゴリゴリ取り除きました。

 

醤油にワサビを入れ、頭の部分から半分だけミソを垂らしよく混ぜる。

そこにツルッツルプリップリのエビを浸し、大口を開けて一口で食す。

         うまし!

剥きたてのエビは少しぬめっとした食感に、蒸されたような腐ったような甘ったるい匂いをしてる。こ、これは…大当たりじゃないか!6尾食べたところで、生ものを食べ過ぎると腹を壊す体質を思い出し、残りを冷蔵後にしまった。

ところで。何故に「有頭」にこだわったかと申しますと。フフフ…

そうなのだ、オリーブオイルと刻みニンニクでエビの頭を焼くという豪快な漢の料理をやってみたかったのだ!気分は絶対彼氏もこみち様。途中、水泳飛び込みよろしく物凄く高い位置から「つぎたしオリーブオイル」することも忘れない。そして殻にあたって跳ねかえった油が手にあたって、熱いし痛い。でもやめない。エビミソとニンニクの交じり合った独特の薫りが狭いキッチンを強烈に包み込む。

10分ほどで完成した10尾分のエビの頭の芸術品。

ビール片手に半分だけ食す。パリパリ、ゴリゴリ。

          うまし!

ニンニクの風味がビールのピッチをはやめる。ううう。堪らんのぉ。

 

以上が、おひとり様の贅沢な休日の過ごし方なのであった。

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後日談

翌朝、カフェオレを作るために牛乳を出そうと冷蔵庫を開けたところ、この世のものとは思えないおぞましい暴力に近い狂気的なスメルが…‼

動揺を隠せずいったん冷蔵庫を占めコーヒーをブラックで飲み干し、再度オープンッ。

どうやら、残ったエビ4尾から謎の汁が漏れ落ち、ニンニクで焼いた頭というかミソの部分が冷蔵庫の中で熱を失いテロを起こしていたようである。ニンニクは火を通すと甘みが増し固有の匂いが弱くなるのだが、冷却されて時間が経つと全く違う表情を見せるというDV男の典型みたいなポテンシャルを秘めているのだ。

 

「半泣きで冷蔵庫の掃除をする在宅勤務の月曜の朝」という姿を10年前は想像できなかったが、何故か「良い主婦」になっている姿は勝手に想像していた独身推定26歳の私。

仮に主婦になっていたとしても「良い」かどうかは怪しいものである。

つまり、今日も、モテない。

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